炭素鋼

和包丁は刃物専用に製造された鋼材で作られており、日立金属㈱、武生特殊鋼材㈱、愛知製鋼㈱などのメーカーがあります。中でも日立金属㈱は、良質な砂鉄が取れ「和鋼」の産地である島根県安来市に工場を持ち、日本古来の技術で、日本刀の原料になる玉鋼を精製する「たたら製鉄法」の技術を引き継ぎ、最高級刃物鋼「安来鋼」を製造しています。当店の鍛造包丁はすべて、この日立金属㈱安来工場の「安来鋼」を使用しています。
安来鋼は、“切れ味”に必要な高い硬度を出すため、不純物(リン(P)、硫黄(S))を極力低減した炭素鋼です。その含有成分と含有量により特徴や性能が変わり、「黄紙」「白紙(白鋼)」「青紙(青鋼)」といった種類があります(見た目に違いが分からない鋼の種類を区別するため、かつて色紙を貼っていた名残)。特に、安来青鋼は、錆びにくく、高い硬度と粘りを兼ね備えた非常に優れた鋼材です。また、研げば何度でも鋭い切れ味が蘇ります。
白紙は切れ味よく砥ぎやすい反面、やや錆に弱い特徴があります。青紙は白紙にクロム(Cr)やタングステン(W)を加えることで、さらに切れ味が増し永切れする刃物になるほか、白紙よりも錆に強い特徴があります。
番手には炭素の多い順にスーパー(青紙のみ)、一号、二号があります。切れ味(硬度)や長持ちの度合い(対摩耗性)の良い順に、スーパー>一号>ニ号となっており、特にスーパー、一号は極めて硬く(HRC62-64)、研ぎには硬い砥石と研ぐ技術が必要となります。また、刃こぼれしにくい粘り(靭性(じんせい))の良い順では、二号>一号>スーパーとなります。
当店では、切れ味よく永切れするが、硬過ぎず砥ぎやすく、錆びにくくメンテナンスもしやすい、丈夫で使い勝手がよくバランスがベストな「青紙二号(青2)」を主力鋼材として使用しています。青鋼は白鋼より価格は高いですが、当店はメーカー直営、産地直送により、お手頃な価格で提供させていただいています。プロの料理人の方にも、料理好きな方にもオススメです。堺包丁など全国の有名産地への最大の刃の生産・供給地であり、日本刀の高い鍛造(鍛錬と熱処理)技術を継承する、土佐の職人が鍛え上げた刃を、ぜひお試しください

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